特集 眼腫瘍に対する非観血的治療
1 眼瞼・結膜乳児血管腫に対するβ遮断薬による治療
田邉 美香
1
1九州大学大学院医学研究院眼科学分野
キーワード:
乳児血管腫
,
β遮断薬
,
副作用
,
infantile hemangioma(IH)
,
β-blocker
,
side effects
Keyword:
乳児血管腫
,
β遮断薬
,
副作用
,
infantile hemangioma(IH)
,
β-blocker
,
side effects
pp.931-935
発行日 2020年10月5日
Published Date 2020/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001822
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乳児血管腫とは乳幼児期に最も頻度の高い良性の脈管性腫瘍であり,日本における乳児血管腫の有症率は出生児のうち1.7%1)とされている。男女比は男:女=1:3~92)と女児に多く,発症部位は頭頸部が60%,体幹25%,四肢15%とされるが,全身どこにでもできる可能性があり,内臓に発症する場合もある。血管内皮細胞が腫瘍性に増殖し,アポトーシスにより自然退縮するため2),一般的には生後5.5週から7.5週で急速増大し3),生後5か月までにピーク時の80%の大きさに達する4)。1歳を過ぎる頃には増大傾向を失い,大部分は5歳頃までに自然消退する(図1)が,未治療の場合24.8~68.6%に瘢痕などの後遺症が残る5)6)ことが報告されており,またこの時期がちょうど視覚発達時期と合致するため,治療のタイミングを逃してはならない。
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