原著
兵庫医科大学病院におけるマイボーム腺炎角結膜上皮症の検討
細谷 友雅
1
,
岡本 真奈
1
,
荒木 敬士
1
,
五味 文
1
1兵庫医科大学 眼科学教室
キーワード:
マイボーム腺炎角結膜上皮症
,
角膜フリクテン
,
Propionibacterium acnes
,
角膜穿孔
,
霰粒腫
,
ドライアイ
Keyword:
マイボーム腺炎角結膜上皮症
,
角膜フリクテン
,
Propionibacterium acnes
,
角膜穿孔
,
霰粒腫
,
ドライアイ
pp.1617-1621
発行日 2018年12月5日
Published Date 2018/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000982
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目的
近年,マイボーム腺炎角結膜上皮症という疾患群が提唱されているが,新しい概念でありまだ広く浸透しているとはいえない。そこで,兵庫医科大学病院眼科でのマイボーム腺炎角結膜上皮症の特徴と治療成績について検討したので報告する。
対象と方法
対象は2013年4月から2016年8月に兵庫医科大学病院を受診し,マイボーム腺炎角結膜上皮症と診断された15例22眼(平均年齢32.8歳),男性7例11眼,女性8例11眼。フリクテン型と非フリクテン型に分類し,細菌培養結果,角膜穿孔の有無,コンタクトレンズ(CL)使用の有無,霰粒腫既往の有無,ドライアイ既往の有無,治療法について後ろ向きに検討した。
結果
フリクテン型は11例16眼,非フリクテン型は4例6眼であった。細菌培養を提出した5例中,1例でGram陽性桿菌,1例でPropionibacterium acnesが検出された。角膜穿孔は3例,CL使用は6例,霰粒腫既往は4例,前医でドライアイと診断されていたのは4例であった。治療は全例に抗菌薬点眼を使用し,11例はクラリスロマイシンの内服を併用した。副腎皮質ステロイド薬点眼は6例で初診時より併用した。
結論
マイボーム腺炎角結膜上皮症は新しい概念であり,結節を生じない非フリクテン型は特に見逃されやすい。そのため,ドライアイとして長期に治療されていたり,ヘルペスと診断されたりと治療開始が遅れることがしばしばある。正しい診断を行うにはマイボーム腺の状態にも着目することが重要である。
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