症例報告
2年にわたり眼内に存在した鉄片異物による眼球鉄症の1例
得居 俊介
1
,
中村 孝介
1
,
向井 亮
1
,
秋山 英雄
1
1群馬大学大学院医学系研究科 脳神経病態制御学講座眼科学
キーワード:
眼球鉄症
,
眼内異物
,
光干渉断層計
,
ocular siderosis
,
intraocular foreign body
,
optical coherence tomography
Keyword:
眼球鉄症
,
眼内異物
,
光干渉断層計
,
ocular siderosis
,
intraocular foreign body
,
optical coherence tomography
pp.285-290
発行日 2020年3月5日
Published Date 2020/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001583
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
眼内鉄片異物は眼球鉄症が進行すると重篤な眼障害をきたし得ることが報告されている。水晶体融解緑内障を契機に眼内異物が判明し手術加療を行い,光干渉断層計(OCT)画像が特徴的であった1例を経験したので報告する。
44歳男性。建設業の作業中に左眼に異物が飛入し近医受診,左結膜異物,角膜瘢痕,虹彩損傷,外傷性白内障がみられ手術を勧められていたが放置されていた。受傷2年後,左眼の視力低下,充血を主訴に同院受診。前眼部の高度の炎症と硝子体混濁を指摘され当院紹介となった。初診時,左眼視力20cm指数弁,眼圧は左眼32mmHgであった。角膜混濁,前房内炎症,散瞳不良により眼底透見困難であったが,頭部単純X線,CT検査で前房内鉄片異物が疑われ硝子体手術と前房内異物除去術を施行した。水晶体は融解しており,6時方向の隅角に長さ5mmの鉄片異物が存在した。術後施行したswept source OCTのBスキャンは網膜内層にまだら状の高反射を示した。網膜電図ではa波,b波の振幅減弱と律動様小波の低下が確認された。角膜鉄錆症は残存するも左視力(0.5)まで改善した。
長期間眼内鉄片異物が放置された症例を経験した。眼内異物を疑う場合にはCT検査が診断に有用である。眼球鉄症では特徴的なOCT所見を呈することがある。
Copyright © 2020, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.