特集 斜視に対するA型ボツリヌス毒素(BTX-A)注射療法
7 外眼筋BTX-A注射の合併症
三村 治
1
1兵庫医科大学眼科学講座
キーワード:
botulinum toxin
,
strabismus
,
complication
,
extraocular muscle
Keyword:
botulinum toxin
,
strabismus
,
complication
,
extraocular muscle
pp.1507-1511
発行日 2019年12月5日
Published Date 2019/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001478
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A型ボツリヌス毒素(botulinum toxin type A:以下BTX-A)は,骨格筋・平滑筋を問わず筋肉の神経筋接合部に作用して筋麻痺をきたす。そのため,BTX-A溶液が浸潤した部位であればどこであろうとそこにある筋肉の非特異的な麻痺をきたす。外眼筋への注射であれば隣接する他の外眼筋や上眼瞼挙筋の弛緩をきたす可能性が一定の確率で存在する1)。その頻度を低下させるため(BTX-A溶液の拡散を最小限に留めるため)BTX-Aをヒアルロン酸に結合させると,眼瞼下垂の発生頻度は20.8%から2.2%と約10分の1まで低下(上下偏位は2.1%が2.2%と不変)する2)。しかし,この方法はわが国では利用できず,一過性眼瞼下垂と一過性上下眼位ずれは術前に説明すべき合併症である。また,まれな合併症ではあるが,内眼筋麻痺や眼球穿孔をきたすこともある。本稿では斜視に対する外眼筋へのBTX-A注射の合併症について文献と自験例から解説する。
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