特集 第2部 薬物治療の副作用
6 網膜色素上皮を障害する薬剤
篠田 啓
1
1埼玉医科大学眼科
キーワード:
向精神薬
,
フェノチアジン
,
クロルプロマジン
,
クロロキン網膜症
,
ヒドロキシクロロキン網膜症
Keyword:
向精神薬
,
フェノチアジン
,
クロルプロマジン
,
クロロキン網膜症
,
ヒドロキシクロロキン網膜症
pp.1222-1228
発行日 2019年9月30日
Published Date 2019/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001390
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網膜色素上皮細胞は,散乱光の吸収による光学システムの質の向上と酸化ストレス曝露の低減,血液-網膜関門による選択的物質輸送,イオン物質の輸送等による緩衝作用,レチノイドサイクル保護による視覚サイクルの維持,視細胞外節の貪食,血管内皮増殖因子,色素上皮由来成長因子,ATP等々のサイトカインやシグナル伝達因子,ムコ多糖の産生,リポ蛋白の放出,免疫特権の維持や調節,など複数の役割を有する。網膜色素上皮細胞に影響を与える薬剤がいくつか知られているが,これにより上記機能の一部ないしすべてが障害されることで,視細胞や脈絡膜毛細血管板に障害が及び重篤な視機能低下が生じ得る。本稿では他科で全身投与として用いられる薬剤で網膜色素上皮に副作用を生じる薬剤について,臨床所見,副作用の機序,治療等を解説する。
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