臨床報告
8年間結膜下に潜在し,磁気共鳴画像検査時に眼球を穿通したことが疑われた鉄片異物の一例
高野 大樹
1
,
柿原 伸次
1
,
平野 隆雄
1
,
村田 敏規
1
1信州大学医学部眼科学教室
キーワード:
磁気共鳴画像
,
コンピュータ断層撮影
,
結膜下鉄片異物
,
体内金属
,
magnetic resonance imaging
,
computed tomography
Keyword:
磁気共鳴画像
,
コンピュータ断層撮影
,
結膜下鉄片異物
,
体内金属
,
magnetic resonance imaging
,
computed tomography
pp.625-629
発行日 2019年6月5日
Published Date 2019/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001210
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要約
めまいを主訴に近医を受診した75歳男性が精査のための磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging :MRI)撮影中に,右眼の眼痛と牽引感を自覚。検査をすぐに中止し,頭部X線検査およびコンピュータ断層撮影(computed tomography :CT)検査を施行したところ眼窩内異物を指摘され当科を紹介受診した。右眼に結膜下異物を認め,詳細な問診を行ったところ8年前,仕事中に釘の一部が右眼に飛入し近医眼科を受診したが,その際は明らかな異物は指摘されなかったということで,今回のMRI検査により異物が移動したと考えられた。結膜下異物摘出時の観察では,強膜は裂けていたが,異物と結膜で創が被覆された状態だったため,穿通にとどまり眼球の形態は保たれていた。異物の成分解析をしたところ,鉄が主成分であった。今回の症例から, MRI検査前に体内金属がないと自己申告した症例においても,外傷後に見逃されている鉄片異物が存在している可能性があり,MRI検査中に眼痛や牽引感などの自覚症状があれば検査を即時中止することが,さらなる合併症予防には重要と考えられた。
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