私の経験
外傷性涙小管断裂からヒントを得た重症ドライアイに対する涙小管偏位術
植田 芳樹
1
,
佐々木 次壽
2
,
舘 奈保子
1
,
橋本 義弘
1
,
小林 英則
1
,
芳村 賀洋子
1
1真生会富山病院アイセンター(射水市)
2佐々木眼科(坂井市)
キーワード:
涙小管偏位術
,
涙点閉鎖術
,
ドライアイ
,
涙小管断裂
Keyword:
涙小管偏位術
,
涙点閉鎖術
,
ドライアイ
,
涙小管断裂
pp.533-537
発行日 2019年5月5日
Published Date 2019/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001174
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要 約
目的:外傷性涙小管断裂からヒントを得て考案した,重症ドライアイに対する涙小管偏位術を報告する。
方法:2014年1月から2017年2月までに当院で涙小管偏位術を行った8例12涙道を対象とした(男性2例3涙道,女性6例9涙道,平均年齢57.9±16.3歳,39~80歳)。涙点から数ミリメートルの瞼縁を切開し,涙小管水平部を意図的に切断した。切断した涙小管断端を両側に1~2mm掘り出し切除,段違いとなるように皮下縫合を行い,瞼縁と皮膚を縫合した。術1週間後と1か月後に通水検査で疎通性を確認した。
結果:手術は全例で問題なく施行された。術後に再開通した症例は認めなかった。全例でドライアイの自覚的および他覚的症状の改善が得られた。手術時間は平均12.1±2.7分であった。
上下とも施行したのは1例のみで,それ以外は涙点プラグや点眼治療で経過をみることができている。涙小管を偏位させたことによる眼瞼外反などの整容的合併症はなかった。
結論:重症ドライアイに対する涙小管偏位術は低侵襲かつ良好な成績を示し,涙点プラグ挿入不能例に対する第1選択となり得る。
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