原著
成熟白内障に対するフェムトセカンドレーザー白内障手術の有効性
清水 一弘
1
,
吉川 大和
2
,
佐藤 陽平
1
,
宮本 麻起子
1
,
渡辺 浩子
1
,
池田 恒彦
2
1高槻病院眼科(高槻市)
2大阪医科大学感覚器機能形態医学講座眼科学教室
キーワード:
成熟白内障
,
フェムトセカンドレーザー白内障手術
,
累積使用エネルギー値
,
mature cataract
,
femtosecond laser-assisted cataract surgery(FLACS)
,
Cumulative Dissipated Energy(CDE)
Keyword:
成熟白内障
,
フェムトセカンドレーザー白内障手術
,
累積使用エネルギー値
,
mature cataract
,
femtosecond laser-assisted cataract surgery(FLACS)
,
Cumulative Dissipated Energy(CDE)
pp.519-523
発行日 2019年5月5日
Published Date 2019/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001172
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要 約
目的
成熟白内障の手術は浅前房や核の硬化,前嚢切開時の視認性の悪さなどで難易度が高い。一方,フェムトセカンドレーザーによる白内障手術(FLACS)は難症例にも安全に施行できるとされていることから成熟白内障のFLACSの有効性を検証した。
対象と方法
対象は53歳から84歳までの7例7眼。いずれも矯正視力0.01以下で眼底の透見が困難かつIOLマスター(モデル500)での眼軸長測定が不能な症例を対象とした。フェムトセカンドレーザー機器はアルコン社製LenSxⓇを使用して前眼部OCT測定の可否,前嚢切開の完遂率,核切開の程度,また超音波乳化吸引装置による累積使用エネルギー値(Cumulative Dissipated Energy,以下CDE値)を測定した。
結果
対象とした全例で前房・水晶体のOCTスキャンは可能であった。前嚢切開は全例で完成し亀裂を生じることはなかった。核は上方の一部だけに切れ込みが入り完全な水晶体分割は得られなかった。CDE値の平均は22.0であった。
結論
硬い白内障であっても前嚢を染色することなく容易に前嚢切開が完成されるのはFLACSの大きな利点である。水晶体は一部でも切り込みが入れば核分割が容易でCDE値も減らせることから,通常手術に比べてFLACSは安全かつ有用な術式と考えられる。
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