Ⅰ.主訴からみた診断の進め方
7 羞明
松原 央
1
1三重大学大学院医学系研究科眼科学
pp.1021-1024
発行日 2018年9月30日
Published Date 2018/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000818
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羞明(photophobia)とは「眩しい」という訴えで捉えられる光による不快感や見えにくさを指し,健常者でも病的な状態でも生じる。患者の訴えは「眩しい」だけでなく,「目を開けているのがつらい」や「白っぽく見える」など多彩であり,明るさと痛みの感覚の両者に関連する。正常な眼に強い光が入った時や暗順応後に急に明るいところへ入った場合など,対象の明るさやコントラストや順応状態によっては正常な眼でも羞明を自覚するが,正常眼では感じることがない環境において羞明を自覚する場合には病的な症状が考えられる。「眩しい」という症状があるとすべて眼球に異常があるのではと考えがちであるが,眼瞼,角膜,虹彩,水晶体,硝子体,網膜,視神経,脳のどの異常でも羞明が生じ得る。また,眼球には異常がなく他の原因により症状が出ている場合があり,必ずしも眼科的な検査で異常が発見されるとは限らないため,眼科一般検査のみで原因を突き止められない場合がある。そのため,眼科的な原因検索と眼科以外の神経学的な原因検索が場合によっては必要になる。このように,羞明をきたす疾患は眼科疾患のみならず多数あるため,十分な問診を行い原因を突き止めるための検査が必要である。
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