特集 眼科外来診療マニュアル—私はこうしている
外来における診断のポイント—私はこうしている
主訴からみた疾患
羞明
林 清文
1
Kiyofumi Hayashi
1
1東京都職員共済組合青山病院眼科
pp.1467-1469
発行日 1989年9月30日
Published Date 1989/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210965
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羞明はまぶしいと訴える言葉の医学用語であるが,日常の診療で出会うまぶしさの中には,正常眼でも感じるまぶしさ(これを照明学会関係で眩輝またはグレアと呼ぶ)と,病的な状態にある眼が感じるまぶしさがあり,医学的には後者を羞明と定義している。さらに類似した現象として,明るい場所の視力がやや暗い場所の視力よりもかえって減少する場合を昼盲と呼ぶ。いずれにせよ,まぶしさを訴える場合,眼の障害部位は,結膜などの外眼部から角膜・水晶体・硝子体・網脈絡膜,さらに視神経経路にまでおよぶ。また視器以外に,鼻疾患,脳疾患など眼の隣接部の疾患や,発熱,全身衰弱などの全身疾患や,心気症やヒステリーなどの器質的病変の認められないものが原因となる。従って,診療に際しては,視器の順序正しい精密な検査をすすめていくことが最も大切であるが,視器に何らの異常も認められなかった場合は,改めて,患者の疲労の有無,職場の環境,全身や鼻疾患の有無,心身の葛藤の有無について,考慮する必要がある。次頁にその診断の手順を示す。
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