特集 難治性神経眼科疾患の治療を考える
6.難治性眼瞼痙攣
三村 治
1
1兵庫医科大学神経眼科治療学講座
キーワード:
難治性眼瞼痙攣
,
A型ボツリヌス毒素
,
上眼瞼筋切除術
Keyword:
難治性眼瞼痙攣
,
A型ボツリヌス毒素
,
上眼瞼筋切除術
pp.141-146
発行日 2018年2月5日
Published Date 2018/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000566
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眼瞼痙攣は局所性ジストニアに分類されているものの,他の局所性ジストニアより治療にばらつきがあり,多くの症例を経験すればするほど治療効果が乏しいもの(難治例)や,反復治療により治療効果が減弱するもの(効果減弱例)に遭遇する。本来眼瞼痙攣に第一選択とされるA 型ボツリヌス製剤(botulinum toxin type A:以下BTX-A)は,神経筋接合部でアセチルコリンの放出を競合的に阻害し,対象筋である眼輪筋の筋力を低下させる1)。患者の瞬目を高速度瞬目解析装置で解析すれば,抗毒素抗体の産生を認めなければほぼ全例で開瞼速度や閉瞼速度の大幅な低下を認める2)はずである。しかし,開瞼速度や閉瞼速度が低下したにもかかわらず,主観的な訴えが一向に軽快しない例が一定の確率で必ず存在する。本稿ではこのようなnon-responder のうち初回から効果のみられない一次無効例primary failure,抗毒素抗体の産生によると思われる二次無効例secondaryfailure,BTX-A 毒素の反復注射によって経過中に効果減弱のみられる例について解説し,眼科医ができる対策や最新の手術療法についても触れる。
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