特集 難治性神経眼科疾患の治療を考える
5.視神経鞘髄膜腫
木村 亜紀子
1
1兵庫医科大学眼科学講座
キーワード:
視神経鞘髄膜腫
,
Hoyt-Spencer徴候
,
放射線治療
Keyword:
視神経鞘髄膜腫
,
Hoyt-Spencer徴候
,
放射線治療
pp.133-139
発行日 2018年2月5日
Published Date 2018/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000565
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髄膜腫はクモ膜の存在する部位ならいかなる部位からも発生する。髄膜腫自体は脳腫瘍のなかでは最も多い腫瘍であるが,視神経鞘髄膜腫(opticnerve sheath meningioma:以下ONSM)は髄膜腫の2%未満,眼窩腫瘍の1.7%とかなりまれなものである1)。以前はONSM の発見が難しいこともあり,腫瘍が次第に発育し,進行性視力障害・視神経乳頭蒼白・乳頭毛様短絡血管のHoyt-Spencer 徴候などを呈してから発見されることが多かった。ONSM 自体の進行は非常に緩徐であるが,視神経とONSM は癒着が強くさらに共通の動脈で栄養されており,腫瘍の切除は網膜中心動脈閉塞をきたし失明につながることも多かった。そのため,たとえONSM を早期に発見できても,患側眼の視力が失明するまで“wait and see”(経過観察)が一般的な管理方針であった2)。しかも,ONSM は経過観察では眼窩側から頭蓋内(視交叉)に向かって発育する特徴的な成長パターンも持っている3)。そのため,これまでONSM は視神経の難治性疾患のひとつと考えられてきた。
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