臨床報告
9歳男児の涙腺に発生した多形腺腫の1例
内海 卓也
1
,
馬詰 和比古
1
,
馬場 良
1
,
伊澤 仁之
2
,
後藤 浩
1
1東京医科大学病院眼科学分野
2東京医科大学病院脳神経外科学分野
キーワード:
多形腺腫
,
涙腺腫瘍
,
小児眼窩腫瘍
,
pleomorphic adenoma
,
lacrimal gland tumor
,
orbital tumor in children
Keyword:
多形腺腫
,
涙腺腫瘍
,
小児眼窩腫瘍
,
pleomorphic adenoma
,
lacrimal gland tumor
,
orbital tumor in children
pp.941-945
発行日 2017年9月5日
Published Date 2017/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000119
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眼窩腫瘍は比較的まれな疾患であるが,悪性腫瘍であれば生命予後に影響を及ぼし,良性腫瘍であっても眼球運動障害などquality of vision の低下にもつながることがある。眼窩腫瘍の発症年齢は幅広く,平均50 歳代であるが,主に10 歳未満までの小児期と40 歳以上の壮年期の2 つの年齢層にピークがあることが報告されている1)。当院における1990 年から2008 年の眼窩腫瘍421 例を解析したところ,10 歳未満では皮様嚢腫や毛細血管瘤が約半数であり,40 歳以上では特発性眼窩炎症や悪性リンパ腫などのリンパ増殖性疾患が約半数を占め,上皮系腫瘍は全体の5%であるが多形腺腫が最多であった1)。小児眼窩内腫瘍に限った検討は少ないが,栗原らは視神経膠腫と血管腫が過半数を占めると報告しており2),野田らによる検討では類皮嚢腫と血管腫,神経線維腫の割合が多く,横紋筋肉腫や線維肉腫や悪性リンパ腫やdesmoplastic small cell tumor のような悪性腫瘍もみられたと報告している3)。このように多形腺腫は代表的な眼窩腫瘍のひとつであるが,小児における発症は非常にまれである。今回我々は,9 歳男児に発症した,比較的大きな涙腺多形腺腫の1 例を経験したので報告する。
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