特集 近視の進行をコントロールする
1.世界で増大する近視と強度近視
横井 多恵
1
,
大野 京子
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科眼科学分野
キーワード:
疫学
,
近視
,
病的近視
,
近視性黄斑症
Keyword:
疫学
,
近視
,
病的近視
,
近視性黄斑症
pp.857-865
発行日 2017年9月5日
Published Date 2017/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000108
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2016 年に報告された疫学調査によると1),2000年の時点で推定13 億4,300 万人であった世界の近視人口は,2050 年までに49 億4,900 万人にまで増加すると推定されている。これに伴い強度近視人口も,1 億3,600 万人から9 億2,500 万人と,約6 倍に増加する可能性が指摘されている。さらに2013 年の報告では2),世界の2 億8,500 万人の視覚障害者の42%が,近視を主とする矯正されない屈折異常が原因で視覚障害に至っていることが示されている。2010 年の時点で,約1 億人が近視を中心とした矯正されない屈折異常が原因で,中等度から重度の視覚障害(視力良好眼の矯正視力が0.05 以上0.3 未満)にあり,約680 万人が失明状態(視力良好眼の矯正視力が0.05 未満)であると推察され,近視を中心とした矯正されない屈折異常は,世界の中等度から重度の視覚障害の原因の第1 位,失明原因の第2 位となっている1)。また近視人口の増加により,近視を主とする屈折異常の疾病負担は,米国だけで実に年間約2,020 億ドルに達するとも報告されている3)。
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