Summing up
視神経乳頭血流と篩状板の視点からの緑内障病態
中澤 徹
1
1東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座眼科学分野 教授
pp.34-40
発行日 2023年8月30日
Published Date 2023/8/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.01.66_0034-0040
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緑内障は本邦の中途失明原因の第一位であり,現在も失明患者が増加している.われわれ眼科医が最も注力すべき眼疾患である.緑内障病態に関しては,眼圧による機械説と循環障害による血流説があるが,眼圧の測定が可能となりさまざまなエビデンスの構築と治療薬の開発が進み,現状緑内障治療は手術加療も含め眼圧下降が主たる治療となっている.一方,眼圧下降に難渋し視野障害が進行する症例や,眼圧が十分低いにもかかわらず視野障害の進行を認める症例に遭遇する.また,緑内障は多因子疾患であり1),緑内障眼を対象としたメタ解析や疫学研究による報告が多数あり,全身的な疾患の高血圧症2)3),低血圧症2),糖尿病4),睡眠時無呼吸症候群5)が緑内障発症のリスクとなることが報告されている.緑内障診療において治療戦略を立てる際には,眼圧下降を中心に他の危険因子の把握のために,問診や全身状態にも意識を向ける必要がある.以上より,現行の眼圧下降治療に加え,新たに臨床の現場でリスクを定量化する機器の開発をはじめ,病態依存的な治療開発が重要である6).
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