特集 緑内障の非眼圧的要素
序論
富田 剛司
1
1東邦大学医療センター大橋病院眼科
pp.571-571
発行日 2017年6月5日
Published Date 2017/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000050
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緑内障は本邦の中途失明原因の第一位の眼疾患で,全世界でも6,000 万人以上の患者がいると推定されている。緑内障は慢性進行性の神経変性疾患であるが,その原因は不明であり,その発症と進行に関して,眼局所および全身のさまざまな因子がリスクファクターとして挙げられている。もちろん,眼圧は緑内障発症・進行の最大のリスクファクターであり,また現時点で唯一我々が介入可能な因子である。ただ,どんなに眼圧を下げても一定の割合で進行が止まらない症例が存在することも周知の事実である。これを何とかできないのか,というのが低眼圧で進行する緑内障患者を前にした我々臨床医の溜息まじりのつぶやきであろう。「眼圧は下げた。次は何をすればいいのだ?」という点に関していまだ明快な解答はない。そのための第一歩としては,まず敵(?)を良く知ることであろう。流行に飛びつくように,やみくもに“血流だサプリメントだ”,と右往左往するのは決して賢いことではない(ただ,私自身はそれらを決して否定しているものではなくサプリメントは嫌いではないほうである)。冷静に緑内障の姿を見つめたうえで,少しずつ対処法を確立していくしかないと思われる。そのための基礎知識は重要である。近年のOCT を代表とする眼底画像解析技法や血流評価法等の発展により,これまでぼんやりとしか窺えなかった緑内障の非眼圧的要素が少しずつその形が明らかになりつつある。
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