特集 原発閉塞隅角症/緑内障─その対処法─
序論
富田 剛司
1
1東邦大学医療センター大橋病院眼科
pp.203-203
発行日 2018年3月5日
Published Date 2018/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000580
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今回の特集は「原発閉塞隅角」である。“隅角が閉塞している=緑内障!”という時代は,“眼圧が高い=緑内障!”という認識と同じく過去のものとなった。現在,緑内障は緑内障性視神経症が主要な病態として認知されており,日本緑内障学会による緑内障ガイドライン第4 版においては,原発閉塞隅角緑内障は,「他の要因なく,遺伝的背景や加齢による前眼部形態の変化などで惹起される(原発)隅角閉塞により眼圧上昇を来し,かつすでに緑内障性視神経症を生じている疾患である」と定義されており,閉塞隅角と緑内障性視神経症の存在が並列的に述べられている。また同ガイドラインでは,原発閉塞隅角症は,「原発隅角閉塞によって,眼圧上昇を来しているか,もしくは周辺虹彩前癒着を生じているが,緑内障性視神経症を生じていない状態である」と記載されている。したがって,隅角閉塞を認めた場合,緑内障(性視神経症)を発症している場合もあるが,必ずしもすべてがイコールではないこと,さらには,最初はいわゆる正常眼圧緑内障として発症し,その後年齢ととともに隅角閉塞を生じる事例があることも臨床の場ではときに経験する。また,原発閉塞隅角緑内障は,閉塞隅角に伴う高眼圧によって生じた続発緑内障であるとの見解も存在する。しかしながら,隅角が閉塞し眼圧が高いという状態は眼科医にとって(もちろん患者にとっても)やっかいな事態であることは,今も昔も変わりはない。
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