特集 眼圧を評価する
序論
富田 剛司
1
1東邦大学医療センター大橋病院眼科
pp.1-1
発行日 2018年1月5日
Published Date 2018/1/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000530
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2018 年の初頭を飾る最初の特集は「眼圧を評価する」である。昨年の6 月号の特集では,緑内障の非眼圧的要素を総括したが,緑内障は何といっても眼圧がその病態に深く関わっている疾患である。極論を言えば,緑内障から眼圧を除けば,緑内障のアイデンティティーそのものが無くなると言っても過言ではない。将来的には緑内障と眼圧が切り離されるような衝撃的な緑内障の病態論が展開される可能性もあるが,それはまだ先のことであろう。もちろん,高眼圧イコール緑内障ではないという認識は,正常眼圧緑内障の存在が広く認められた現在,既に一般的に共有されているところである。であるからといって,緑内障は眼圧とは関係がないとはすぐには言い切れないところもある。眼圧が十分低いのに視野障害が進行するという症例は我々が日常臨床で多く経験するところである。そのような場合,この患者は眼圧とは関係のない要素で視神経症が進行しているのではないかと考えるのは当然なところである。しかしながらここで別の観点から考えるべきことは,この患者は本当に眼圧が十分低いのか,という点である。もっと根本的なことを言えば,我々は患者の眼圧を正確に把握できているのかという点まで遡ってしまうのである。
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