特集 緑内障の視野結果をどう解釈するか?
序論
富田 剛司
1
1東邦大学医療センター大橋病院眼科
pp.667-667
発行日 2019年7月5日
Published Date 2019/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001231
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今月の特集は緑内障の視野に関連した話題である。本年1月号ではOCTによる緑内障診断の特集を企画した。近年では,前視野緑内障(preperimetric glaucoma:PPG)も認知され,視野検査結果で異常が示されなくとも,特徴的な緑内障性眼底変化から緑内障と診断される症例も増多している。しかしながら,緑内障は進行すると視野障害が中心視野領域に及び,視力低下をきたす疾患であり,これこそが,緑内障が“怖い病気”と思われているゆえんである。したがって,ある患者においてOCT等により構造上緑内障異常の存在が確定されても,視野に代表される視機能がどの程度残存しているのかを確認することは大変重要である。それゆえに,緑内障診断における視野検査の重要性が低くなることは決してない。さらに,緑内障診断において,構造変化と視野障害を結びつけて考えることの重要性はこれだけにとどまらない。緑内障に類似した視神経乳頭異常や網膜神経線維層異常も数多いことから,緑内障性構造異常が正しく緑内障としての異常であるか否かを判断する必要がある。そのためには,緑内障に特徴的な視野異常が存在しているのかを確認することが大切だからである。また,緑内障が進行しているのか否かについても,最近では構造異常の進行からも判断されるようにもなってきたが,今の時点では,視野検査結果から進行の有無を判断するのが主流である。以上のことから,緑内障に関する正しい視野の知識は本当に大切であると考える。
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