原著
早期発症型と晩期発症型の皮膚障害を併発したメシル酸ガベキサートによる血管外漏出の一例
山村 優人
1
1社会医療法人生長会ベルランド総合病院 皮膚科
キーワード:
Clobetasol
,
診断物質と治療物質の遊出
,
膵炎
,
皮膚疾患
,
Gabexate
,
寒冷療法
,
静脈内注入
,
罨法
Keyword:
Clobetasol
,
Extravasation of Diagnostic and Therapeutic Materials
,
Infusions, Intravenous
,
Skin Diseases
,
Pancreatitis
,
Cryotherapy
,
Gabexate
pp.616-620
発行日 2023年5月28日
Published Date 2023/5/28
DOI https://doi.org/10.69337/J07608.2023219613
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症例は56歳女性で、急性膵炎の診断で末梢静脈よりメシル酸ガベキサート点滴による治療を開始し、3日目に血管外漏出をきたし皮膚科紹介となった。右前腕に長径15cm大の熱感・疼痛を伴う浮腫性紅斑を認め、メシル酸ガベキサート血管外漏出の診断でステロイド局注を行った。その後は自己でクロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏外用と冷罨法を連日行い、ステロイド局注後7日目には軽快したが10日目に再燃し、14日目よりステロイド局注とステロイド軟膏外用、冷罨法を継続した。同時に両側前腕に紫斑や索状の硬結を多数認め、単純CTでは多発血栓性静脈炎の所見を認め、21日目には左上肢にも浮腫性紅斑が出現した。膵炎の治療の際に左前腕よりメシル酸ガベキサート投与を継続したことが判明したため、メシル酸ガベキサートによる皮膚障害と診断し右前腕と同様の治療を行った。その後ステロイド外用をランクダウンしても炎症の再燃なく、63日目に治療を終了した。

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