発行日 2014年1月20日
Published Date 2014/1/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2014122263
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
【目的】アントラサイクリン系抗がん薬(AC薬)投与時はガイドライン上、NK1受容体拮抗薬併用が推奨されている。今回、静注用のNK1受容体拮抗薬ホスアプレピタントメグルミンとAC薬との併用による投与静脈への障害の発症について検討した。【対象と方法】対象は2012年3~11月に岩手県立磐井病院で乳がん補助化学療法を施行した患者9名であり、1クール目はアプレピタント+AC薬を投与し、2クール目でホスアプレピタントメグルミン+AC薬を投与し、Drug投与静脈の静脈炎、静脈痛の発症頻度を比較した。またAC薬とホスアプレピタントメグルミンの併用をAC群とし、対照として他がんで同期間にAC薬以外の抗がん薬とホスアプレピタントメグルミンを併用した19名(non-AC群)の静脈炎、静脈痛の発生頻度を検討し、p<0.05を有意とした。【結果】アプレピタント+AC薬の静脈炎、静脈痛の発症頻度はともに0%だったが、ホスアプレピタントメグルミン+AC薬では静脈炎67%、静脈痛89%であり、発症頻度は後者が有意に高かった(p=0.0045とp=0.0002)。また、non-AC群では静脈炎21%、静脈痛42%であり、両者(p=0.028とp=0.024)とも有意にAC群で高頻度であった。またホスアプレピタントメグルミン、アプレピタント使用群とも嘔吐症例はなく、制吐作用では有意差を認めなかった。【結論】AC薬とホスアプレピタントメグルミンの併用は有意に静脈炎、静脈痛を発症しやすく、AC薬使用時はアプレピタントの使用が望ましいと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014