特集 角化症・炎症性角化症
高齢者に発症したHailey-Hailey病の1例
東 さおり
1
,
長田 麻友美
,
新島 靖子
,
多田 弥生
,
神田 奈緒子
1立正佼成会附属佼成病院 皮膚科
キーワード:
カンジダ症-皮膚
,
酸化亜鉛
,
鼠径部
,
多剤併用療法
,
経口投与
,
経皮投与
,
Itraconazole
,
天疱瘡-良性家族性
,
Betamethasone Butyrate Propionate
,
Glyteer
,
Betamethasone 17-Valerate-Gentamicin
,
Dexamethasone-Glyteer
Keyword:
Administration, Oral
,
Administration, Cutaneous
,
Candidiasis, Cutaneous
,
Drug Therapy, Combination
,
Groin
,
Zinc Oxide
,
Itraconazole
,
Pemphigus, Benign Familial
,
Glyteen
pp.1080-1081
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016305025
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78歳女。当科受診の6ヵ月前、鼠径部と肛囲に小水疱、鱗屑を伴う紅斑が出現し、そう痒感を伴った。近医受診し、鏡検でカンジダ陽性であったため抗真菌薬の外用が行われたが、紅斑は改善しなかった。臨床所見から増殖性天疱瘡の併発を疑われ、アルクロメタゾンプロピオン酸エステル(アルメタ)軟膏を処方されたが、皮疹は拡大し、当科に紹介された。紅斑部の皮膚生検で表皮基底層直上に棘融解と裂隙形成を認め、裂隙底部には一層の基底細胞に覆われた真皮乳頭が突出し、絨毛状を呈していた。棘融解細胞は緩やかに結合しており、dilapidated brick wall状の外観を呈していた。また、真皮浅層の血管が拡張し、血管周囲に炎症細胞浸潤が認められた。これらの所見から、Hailey-Hailey病と診断し、デキサメタゾン・脱脂大豆乾留タール(グリメサゾン)軟膏と亜鉛華軟膏の外用を行ったところ、紅斑は3週間で消失した。その2ヵ月後、カンジダ感染の合併によって紅斑が再度出現したため、アモロルフィン(ペキロン)クリームを併用したが皮疹は改善せず、イトラコナゾールの内服によって改善した。
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