症例
抗TNFα抗体製剤(インフリキシマブ)導入後、副腎皮質ステロイド外用剤中止により続発性副腎不全を生じた乾癬性紅皮症の1例
宮野 恭平
1
,
難波 純英
,
新井 康介
,
田口 理史
,
中村 晃一郎
,
倉持 朗
,
土田 哲也
1埼玉医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
Clobetasol
,
Hydrocortisone
,
乾癬
,
多剤併用療法
,
経口投与
,
経皮投与
,
副腎機能低下症
,
Infliximab
,
静脈内注入
,
Hydrocortisone Sodium Phosphate
,
紅皮症-乾癬性
Keyword:
Infliximab
,
Administration, Oral
,
Administration, Cutaneous
,
Adrenal Insufficiency
,
Clobetasol
,
Drug Therapy, Combination
,
Hydrocortisone
,
Infusions, Intravenous
,
Psoriasis
,
Hydrocortisone Sodium Phosphate
pp.563-567
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280957
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は41歳男性で、20歳時に尋常性乾癬を発症し、以後、ステロイド外用剤を中心に内服療法や光線療法などを併用し、加療を受けていた。26歳時に関節症性乾癬、36歳時に膿疱性乾癬と診断され、また、同時期にステロイド外用剤による医原性Cushing症候群を指摘された。シクロスポリン・エトレチナート内服により臓器障害を生じたため、ステロイド外用剤を中心に、これらを断続的に加療継続した。ナローバンドUVBも施行したが十分な皮疹の改善は得られなかった。39歳からは本人の希望でステロイド外用療法および関節痛に対しては非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で治療した。41歳時に乾癬性紅皮症の診断でインフリキシマブ(IFX)を導入し、IFX初回投与後、関節痛は改善し、NSAIDs内服は不要となった。また、皮疹も著明に改善し、IFX 2回目の投与前にはステロイド外用剤が殆ど不要となった。IFX 2回目投与後、1週間程度、食思不振、嘔吐、全身倦怠感が続いた。IFX 3回目投与後にはさらに消化器症状が悪化したため、感染性腸炎やIFXの副作用を疑い入院精査した。早朝コルチゾール値低下、クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏10g/日を20年間外用していたことから、ステロイド外用剤の急な中止により生じた続発性副腎不全と診断した。乾癬は生物学的製剤導入後、皮疹の速やかな改善が得られるが、長期間強力なランクのステロイド外用を行っている症例では、外用剤の急激な中止による副腎不全を生じる可能性があり注意が必要と考えられた。
Copyright © 2016, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.