特集 血管炎・血行障害
Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significanceを合併したIgG4関連疾患に伴う高γグロブリン血症性紫斑の1例
大橋 洋之
1
,
木村 聡子
,
齋藤 千尋
,
門野 岳史
,
川上 民裕
,
相馬 良直
1聖マリアンナ医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
IgG
,
Prednisolone
,
紫斑病-高グロブリン血症性
,
経口投与
,
皮膚疾患-下肢
,
免疫組織化学
,
直接蛍光抗体法
,
単クローン性免疫グロブリン血症-良性
Keyword:
Administration, Oral
,
Immunohistochemistry
,
Immunoglobulin G
,
Leg Dermatoses
,
Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance
,
Prednisolone
,
Purpura, Hyperglobulinemic
,
Fluorescent Antibody Technique, Direct
pp.537-541
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280953
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症例は77歳男性で、Raynaud現象、下腿に痺れ・疼痛があり、3日前に下腿に皮疹が出現し、IgA血管炎が疑われた。両下腿に半米粒大の浸潤を触れない紫斑が多発していた。胸部から下腹部CTで腹部リンパ節・脾臓はやや腫大し、胸腹水があった。病理的組織学的所見は真皮上層~皮下組織にかけ、血管周囲性に炎症細胞浸潤を認めた。胸部から下腹部CTで腹部リンパ節・脾臓はやや腫大、胸腹水を認めた。真皮上層には赤血球の血管外漏出がみられ、血管周囲の炎症細胞は好酸球、リンパ球、形質細胞が主体であった。また、真皮から皮下組織にかけ、IgG4陽性形質細胞がみられた。蛍光抗体直接法では真皮乳頭層から中層の血管壁にIgG4が強陽性、IgAは陰性であった。骨髄生検で形質細胞は5.4%と増加していたが、異型性は少なく、多発性骨髄腫は否定的であった。以上より、良性単クーロン性γ-グロブリン血症(MGUS)を合併したIgG4関連疾患に伴う高γ-グロブリン血症性紫斑と診断した。下腿の紫斑は自然消退した。IgG4関連疾患に対してはプレドニゾロン(PSL)30mg/日の内服を開始した。しかし、経過中に帯状疱疹や食道カンジダ症が出現し、高齢であることや全身状態の悪化がないことから、PSLは漸減し、神経疼痛に対しては対症療法を行う方針とした。PSLは3mg/日まで減量したが皮疹の再燃なく経過中である。
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