発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012315583
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82歳女。要全介助で特別養護老人ホームに入所中であった。数ヵ月前から誤嚥性肺炎を繰り返し、発熱も続いたため入院となった。抗生物質(ABPC/SBT)で軽快した後、胃瘻造設目的で上部消化管内視鏡検査を行った。十二指腸下行脚から連続性の浮腫、潰瘍、びらんを認め、胃液が多く嘔吐で誤嚥の危険があるため、胃瘻を造設しドレナージを行った。胃瘻造設翌日の腹部単純CTで、十二指腸、空腸の壁肥厚と骨盤内に少量の腹水を認めた。造設2日後に肉眼的血尿、発熱および下血を認め、大腸内視鏡検査を行ったところ、S状結腸まで全周性浮腫、発赤、びらんを認め、下行結腸は散在性発赤となり、横行結腸からは黒色便を認めた。造設4日後に白血球数、CRPが増加し、造設5日には四肢に点状出血が出現したため、Henoch-Schonlein紫斑病と診断し、PSLの経静脈的投与を行った。2日後に皮疹は紫斑となり消褪した。血液凝固第XIII因子は30%と低下していた。ステロイド投与2日後のS状結腸内視鏡検査では、直腸粘膜、S状結腸の浮腫は軽減し、S状結腸に紫斑様の所見が認められた。投与4日目の十二指腸粘膜の浮腫発赤は著明に改善した。
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