特集 血管炎・血行障害
寒冷凝集素症の1例
大原 香子
1
,
大原 昇
,
大本 英次郎
1大原医院
キーワード:
Coombsテスト
,
クリオグロブリン血症
,
エリテマトーデス-全身性
,
混合性結合組織病
,
鑑別診断
,
貧血-溶血性-自己免疫性
,
保温
Keyword:
Anemia, Hemolytic, Autoimmune
,
Cryoglobulinemia
,
Diagnosis, Differential
,
Coombs Test
,
Lupus Erythematosus, Systemic
,
Mixed Connective Tissue Disease
pp.506-507
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280946
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- 文献概要
症例は58歳女性で、3年前から冬季・夏季に手足の冷感があり、11月頃、冷感が例年よりひどく、トコフェノールニコチン酸エステルを内服したが症状が悪化し、痛みもあり手指・足趾が紫紅色となった。両手の示指・中指・環指の末節が紫紅色で、特に右環指、左示指が強く、指腹の第2関節まで網状皮斑を認める部分もあり、足趾全趾末節も紫紅色で、皮膚硬化や爪囲紅斑はなかった。先端チアノーゼ(AC)からクリオグロブリン血症、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病など膠原病を考え、血液検査を行った。正球性正色素性貧血、LDH高値から溶血性貧血と診断し、ACをきたす自己免疫性溶血性貧血を疑い、血液内科に紹介した。LDHアイソザイムでLDH1と2が優位、Bence-Jones蛋白陰性、sIL-2Rが正常範囲であることから悪性リンパ腫の存在は考えにくく、感染症を疑わせる症状はなく、3年前から冷感があったことから特発性寒冷凝集素症と診断し、保湿以外の治療は行っていない。
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