特集 血管炎・血行障害
消化管病変の経時的評価にCT検査が有効であったHenoch-Schoenlein紫斑病の1例
小林 真麻
1
,
清水 香
,
西村 みずき
,
松崎 大幸
,
上嶋 祐太
,
川瀬 正昭
,
江藤 隆史
,
矢野 正一郎
1東京逓信病院 皮膚科
キーワード:
紫斑病-Schoenlein-Henoch
,
十二指腸疾患
,
経口投与
,
静脈内注入
,
Prednisolone Hemisuccinate
,
腹部CT
Keyword:
Administration, Oral
,
Duodenal Diseases
,
Infusions, Intravenous
,
Purpura, Schoenlein-Henoch
,
Prednisolone Hemisuccinate
pp.496-500
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280944
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症例は47歳男性で、5日前ゴルフ場でブヨに刺され、2日後、下腿に皮疹が出現した。Henoch-Schoenlein紫斑病(HSP)を疑われ、軽度腹痛を伴い、重症化が懸念された。両下腿伸側を中心に、いずれも両側の下腿屈側、大腿部、臀部、前腕に帽針頭大~拇指頭大まで浸潤を触れる紫斑があり、下腿伸側の一部で膿疱を形成していた。下腿紫斑部はやや表皮肥厚があり炎症細胞浸潤を伴い、真皮浅層~深層にかけ好中球主体の細胞浸潤と多数の血球破砕やフィブリノイド壊死のみられる小型血管炎像がありHSPと診断した。蛍光抗体直接法は全て陰性で、腹部症状は違和感を感じる程度で、消化管病変は軽度と考えられた。安静とし、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム水和物、トラネキサム酸内服、創部処置はゲンタマイシン硫酸塩軟膏外用による保存的治療で経過観察したが徐々に腹痛が強くなり上部消化管内視鏡、CTを行った。十二指腸に鬱血、浮腫性変化、多発糜爛・潰瘍、壁内血腫がみられた。腹部造影CTで近位空腸に限局した強い浮腫状の腸管壁肥厚と同領域の腸間膜に脂肪織濃度上昇があり多発リンパ節腫大もみられた。重度の消化管病変で絶食とし、プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(水溶性PSL)60mg/日点滴を行い、皮疹は速やかに改善した。治療開始前に上部消化管内視鏡、腹部造影CT、治療開始後に経時的に腹部CTを行い、消化管病変を評価し水溶性PSL漸減や食事再開の目安として有効であった。
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