特集 血管炎・血行障害
十二指腸下行脚に単発性の潰瘍病変を生じたアナフィラクトイド紫斑病の1例
飯島 茂子
1
,
眞壁 郁
,
大川原 健
,
鹿志村 純也
,
山口 直人
1水戸済生会総合病院 皮膚科
キーワード:
Prednisolone
,
紫斑病-Schoenlein-Henoch
,
十二指腸潰瘍
,
十二指腸鏡法
,
糖尿病性腎症
,
腹痛
Keyword:
Duodenoscopy
,
Diabetic Nephropathies
,
Duodenal Ulcer
,
Prednisolone
,
Purpura, Schoenlein-Henoch
,
Abdominal Pain
pp.491-495
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280943
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症例は50歳男性で、両手首関節痛が出現し、上腹部痛、四肢・臀部の浸潤を触れる点状紫斑が出現した。尿検査潜血3+、蛋白4+、便潜血+、尿ヘモグロビン728ng/mlであった。右臀部紫斑は被覆表皮に著変なく真皮浅層~深層にかけ血管周囲に炎症細胞の浸潤を認めた。浸潤細胞は核塵を伴う好中球とリンパ球よりなり、真皮上層から中層の小血管内皮細胞腫大と赤血球の血管外漏出もみられ白血球破砕性血管炎の像を示した。蛍光抗体直接法で真皮浅層血管壁にIgA、C3、フィブリノーゲンが沈着し、上部消化管内視鏡で十二指腸下行脚に単発性の浮腫、糜爛、紫斑はなく、胃・十二指腸球部に潰瘍はなかった。皮膚生検よりアナフィラクトイド紫斑病と診断し、腎障害は糖尿病性腎症に紫斑病性腎症を合併した腎機能悪化と診断した。十二指腸潰瘍はあるが潰瘍周囲に血管炎などなく消化性十二指腸潰瘍と考えられた。プロトンポンプ阻害薬で改善なく、プレドニゾロン30mgで腹部症状、内視鏡所見に改善がみられた。内視鏡所見の主要部位は十二指腸下行脚であるが炎症を伴わない単発性潰瘍はまれである。
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