特集 疲労骨折の病態と治療
Ⅰ 総論
女性の疲労骨折
中村 寛江
1
,
能瀬 さやか
1
1東京大学医学部附属病院女性診療科・産科
キーワード:
疲労骨折(stress fracture)
,
スポーツにおける相対的エネルギー不足(relative energy deficiency in sport;RED-S)
,
女性アスリートの三主徴(female athlete triad)
Keyword:
疲労骨折(stress fracture)
,
スポーツにおける相対的エネルギー不足(relative energy deficiency in sport;RED-S)
,
女性アスリートの三主徴(female athlete triad)
pp.17-28
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000001162
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
・骨代謝・骨量獲得には女性ホルモンであるエストロゲンが関与しており,無月経による低エストロゲン状態は疲労骨折のリスクとなる。
・女性アスリートの三主徴は,利用可能エネルギー不足,視床下部性無月経,骨粗鬆症で定義される。また,同三主徴を包含する概念である「スポーツにおける相対的エネルギー不足(relative energy deficiency in sport;RED-S)」の状態になると,月経,骨に限らず発育・発達,精神,内分泌,代謝など全身に悪影響を与えパフォーマンスの低下をもたらすとされる。
・女性アスリートが疲労骨折で整形外科を受診した際は,月経の有無について確認し,無月経であれば婦人科などと連携することが望ましい。特に骨量獲得時期である10歳台の無月経や低体重は,競技生活中の疲労骨折のリスクを高めるだけでなく,生涯の健康にも影響する。アスリート本人だけでなく,保護者,指導者などへの啓発が課題である。
Copyright © 2022, MEDICAL VIEW CO., LTD. All rights reserved.