症例と治験
人工膝関節全置換術(TKA)術後の屈曲可動域に影響する因子
今村 亮太
1
,
天野 幹三
1
,
瀧口 慶大
1
,
坊 淳志
2
,
金沢 敏勝
1
1:廣島クリニック
2サカ整形外科
キーワード:
人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty;TKA)
,
可動域(range of motion)
,
靱帯バランス(ligament balance)
Keyword:
人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty;TKA)
,
可動域(range of motion)
,
靱帯バランス(ligament balance)
pp.702-706
発行日 2020年6月19日
Published Date 2020/6/19
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000000315
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人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty;TKA)において良好な可動域を得るためには,人工関節自体のデザインや材質,手術手技,リハビリテーションなど多方面からの影響を考慮する必要がある。今回,術前膝関節可動域および術中に人工膝関節を置換する前後での内側側副靱帯(medialcollateral ligament;MCL)と外側側副靱帯(lateral collateral ligament;LCL)の靱帯バランス(膝関節屈曲でのMCLとLCLの緊張が高まりはじめた角度)を屈曲可動域に影響する因子と仮定し,これらの因子が術後4週目の膝関節屈曲角度に影響を与えるかを検討した。症例は11例11膝(女性:9例,男性:2例),平均年齢は75歳(51 ~ 85歳)であった。術後屈曲角度には,MCLの術中置換後靱帯バランスが最も強い正の相関,術前屈曲角度およびMCLの術中置換術前靱帯バランスは強い正の相関,LCLの術中置換前靱帯バランス,術中置換後靱帯バランスは中等度の正の相関を示した。術後屈曲角度を良好にするのに最も影響のある因子としては,重回帰分析では,MCLの術中置換後靱帯バランス(膝関節屈曲でのMCLとLCLの緊張が高まり始めた角度)の緊張を,膝関節屈曲が大きい角度で緊張するように遅らせることであった。
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