特集 整形外科の外傷治療-現状と課題-
Ⅲ. 脆弱性骨折治療,二次骨折予防の現状と課題
二次骨折予防の薬物治療
斎藤 充
1
1東京慈恵会医科大学整形外科学講座
pp.90-96
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000000274
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骨粗鬆症に伴う脆弱性骨折は連鎖する。初回骨折後の1年で二次骨折のリスクはピークとなる。種々の骨粗鬆症治療薬の骨折防止効果は,投与後1 〜 2年で発揮される。すなわち,初回の骨折と同時に治療開始しないと二次骨折を防ぐことができない。骨は海綿骨では年間40%が,皮質骨では年間4〜7%が新陳代謝(リモデリング)しているため,薬剤をはじめとした介入効果が出やすい臓器である。しかし,性ホルモンの減少は生涯消えないリスクであるため,一度治療を中止すれば,破骨細胞は再び息を吹き返し,骨密度,構造は破綻し,酸化ストレスの亢進により材質も劣化し,骨折リスクが再度上昇する。人生100年時代を迎え,生涯治療が必要な疾患として考えを改める必要がある。
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