発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013356270
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73歳女。動悸、呼吸困難、食欲不振を自覚した。顔面・下腿浮腫が出現し、慢性心不全の増悪が疑われ入院となった。胸部単純X線写真では心拡大を認め、胸部CTと心エコー検査では著明な心嚢液の貯留を認めた。心嚢液細胞のセルブロックではN/C比の大きな異型細胞を孤立散在性に多数認めた。心嚢液細胞の染色体分析では、分析20細胞中4細胞でトリソミー18とモノソミー2を含む複雑な染色体異常が認め、悪性リンパ腫として矛盾がないと考えた。心嚢内にドレーンを留置し、約2週間にわたり持続的にドレナージを施行した。心不全症状は改善し、全身状態は安定したため、R-THP-COP療法を2コース施行したが、慢性心不全の増悪、陳旧性脳梗塞巣による痙攣発作が出現したため治療を中断した。その後も半年以上にわたって心嚢液の再貯留は認めず経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2013