特集 Onco-Cardiologyの新展開
識る なぜ、癌に血栓塞栓症が合併しやすいのか?
窓岩 清治
1
1東京都済生会中央病院 臨床検査医学科
キーワード:
Thromboplastin
,
血小板凝集
,
血栓塞栓症
,
抗腫瘍剤
,
腫瘍
,
Fibrin
,
流血中腫瘍細胞
,
上皮間葉転換
,
細胞外トラップ
Keyword:
Antineoplastic Agents
,
Fibrin
,
Neoplasms
,
Neoplastic Cells, Circulating
,
Platelet Aggregation
,
Thromboembolism
,
Thromboplastin
,
Epithelial-Mesenchymal Transition
,
Extracellular Traps
pp.130-136
発行日 2018年2月9日
Published Date 2018/2/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018122105
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
癌はRudolf Virchowのいう「治癒することのない創傷」であり、その増殖や浸潤過程で生体防御反応を担う血小板-血液凝固系-線溶系を巧みに利用する。癌に伴う血栓塞栓症の発症機序は多因子的で極めて複雑であるが、血小板-血液凝固系-線溶系がその作用点として根幹をなす。癌と血栓塞栓症との関連は、欧米諸国において実施されてきた緻密な臨床研究により検証されたものである。癌患者における静脈血栓塞栓症の発症率は1~8%であり、健常人の約4~7倍も高い。また静脈血栓塞栓症の20~30%は癌に関連する。血栓塞栓症による死亡は癌死に次いで高く、静脈血栓塞栓症の合併が担癌患者の生命予後に大きな影響を及ぼす。本稿では、癌における生体防御機構と血栓形成のメカニズムの概略を述べる。
Copyright© 2018 MEDICAL VIEW CO., LTD. All rights reserved.