特集 Onco-Cardiologyの新展開
識る 放射線治療による心血管系への影響
庄司 正昭
1
1国立がん研究センター中央病院 総合内科・循環器内科
キーワード:
疫学
,
冠動脈疾患
,
心筋炎
,
心筋疾患
,
心臓血管疾患
,
心臓弁膜症
,
心ブロック
,
心膜炎
,
放射線障害
,
放射線療法
Keyword:
Cardiovascular Diseases
,
Coronary Disease
,
Epidemiology
,
Heart Valve Diseases
,
Heart Block
,
Cardiomyopathies
,
Myocarditis
,
Pericarditis
,
Radiotherapy
,
Radiation Injuries
pp.124-129
発行日 2018年2月9日
Published Date 2018/2/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018122104
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放射線治療(radiotherapy:RT)は、現在、乳癌および種々の悪性腫瘍の治療において中心的な役割を果たしている。乳癌においていえば、50%以上の患者がRTを受けると推定され非常に多くの患者が存在し、癌の早期診断やその治療成績の改善で、癌患者はより長く生存できるようになった。一方で、寿命を延ばした患者の人生においては、癌治療による心毒性が癌の完治後に出現することの身体的、心理的インパクトは非常に大きく、重要な合併症としてよりいっそう注目されてきている。それは即ち、放射線治療による毒性で心疾患を発症した際に定義される、放射線誘発性心疾患(radiation-induced heartdisease:RIHD)は、癌そのものでの死亡率の改善を相殺してしまう重篤な合併症であるからにほかならない。本稿では、RIHDのこれまでの基本的な疫学データを少し振り返りながら、病態、そして治療と対策を概説する。
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