Acute care surgeryを学ぶ
敗血症性臓器障害の病態を考慮した治療戦略
宮下 知治
1
,
櫻井 健太郎
,
太田 哲生
1金沢大学 消化器・腫瘍・再生外科
キーワード:
Peroxidase
,
血小板凝集
,
多臓器不全
,
免疫寛容
,
免疫組織化学
,
血小板凝集阻害剤
,
重症度指標
,
敗血症
,
Beraprost
,
早期診断
,
細胞外トラップ
Keyword:
Immune Tolerance
,
Immunohistochemistry
,
Multiple Organ Failure
,
Peroxidase
,
Platelet Aggregation
,
Platelet Aggregation Inhibitors
,
Severity of Illness Index
,
Sepsis
,
Early Diagnosis
,
Extracellular Traps
,
Beraprost
pp.1260-1266
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016142677
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敗血症から臓器障害にいたる過程はphaseI~IIIに分けられる.PhaseIは好中球細胞外トラップ(NET)と血管内血小板凝集によって惹起される.PhaseIIはNET由来のdamage-associated molecular pattern(DAMPs)によって血管内皮細胞が剥離・脱落し,血管外へと血小板が逸脱する.PhaseIIIは血管外の肺では肺胞壁,肝臓ではDisse腔で血管外血小板が凝集し,血小板由来のTXA2や5-HTによって肺高血圧症や門脈圧亢進症が,またPAI-1やTGF-βによって肺線維症や肝の線維化が惹起される.PhaseIIIは臓器障害の時期であるが,同時に免疫麻痺状態でもある.このように敗血症による臓器障害の本態は微小血栓による循環障害ではなく,血管外血小板凝集に起因した肝veno-occlusive disease(VOD)あるいは肺のVODの状態であり,早期に診断しバンドル治療による早期介入が予後を改善する.そのため早期補助診断のツールとしてsepsis-induced coagulopathy(SIC)を考案し,先制医療の基準としている.
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