特集 震災時における循環器医療を改めて考える
識る 東日本大震災から学んだこと
青木 竜男
1
,
下川 宏明
1東北大学 大学院医学系研究科循環器内科学
キーワード:
救急車
,
災害
,
心筋梗塞
,
心臓血管疾患
,
心不全
,
ストレス障害-心的外傷後
,
入院
,
発生率
,
前向き研究
,
結実因子
,
生活習慣病
,
緊急避難所
,
東日本大震災
Keyword:
Ambulances
,
Cardiovascular Diseases
,
Disasters
,
Hospitalization
,
Heart Failure
,
Myocardial Infarction
,
Prospective Studies
,
Stress Disorders, Post-Traumatic
,
Precipitating Factors
,
Incidence
,
Emergency Shelter
pp.1123-1129
発行日 2017年12月9日
Published Date 2017/12/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018060332
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2011年3月11日に発生した東日本大震災は宮城県沖を震源とし、日本で生じた地震では最大級のマグニチュード9.0を記録した。これにより東北地方を中心とした東日本は多大なる被害を受け、震災から約5年が経過した2016年3月に発表された被害規模は、死者1万9,418人、負傷者6,220人と、近年生じた大震災と比較しても、その被害は過去最大級である。特に、太平洋沿岸地域では津波による被害が著しく、死因の多くが溺死であった。実際に被災地では、地震により道路や鉄道が大きな被害を受け、物流の停止や食料不足に加え、電気・水道・ガスなどのライフラインの寸断が深刻であった。これらの状況を背景に、被災者は発災直後から避難生活による生活様式の変化、恐怖体験、親族の死といったさまざまな身体的・精神的ストレスにさらされることとなった。さらに、遷延する避難所生活を余儀なくされた方々は、長期にわたりこのようなストレスの影響を受けている。震災から5年が経過した現在も、約9万人の方が避難所生活を余儀なくされており、震災の影響はいまだに継続している。このような大規模な震災の後、さまざまな心血管疾患が増加したとの報告が相次いでいる。東北大学病院循環器内科では、震災直後から被災地での医療支援に携わりながら、急性期から慢性期まで震災に関する研究を行っており、震災により心血管病が増加することが明らかになった。本稿では、ストレスあるいはストレス関連疾患と密接な関連を有する心血管疾患の発症に震災がどのように影響したかについて概説する。
(刊行時の通巻頁数に誤りがありました。本文は修正後の通巻頁数が表示されています。)
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