特集 右心不全を考える
識る 右室心筋梗塞を見逃さないために
肥田 頼彦
1
,
森野 禎浩
1岩手医科大学附属病院 循環器医療センター循環器内科
キーワード:
バルーン冠動脈形成術
,
MRI
,
ショック-心原性
,
心エコー図
,
心筋梗塞
,
心臓カテーテル法
,
心電図
,
心不全
,
発生率
,
Swan-Ganzカテーテル法
,
右心室機能障害
,
心筋血流イメージング
,
心筋梗塞-ST上昇型
Keyword:
ST Elevation Myocardial Infarction
,
Catheterization, Swan-Ganz
,
Electrocardiography
,
Echocardiography
,
Cardiac Catheterization
,
Heart Failure
,
Myocardial Infarction
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Shock, Cardiogenic
,
Incidence
,
Angioplasty, Balloon, Coronary
,
Ventricular Dysfunction, Right
,
Myocardial Perfusion Imaging
pp.30-35
発行日 2018年1月9日
Published Date 2018/1/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018088784
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右室心筋梗塞が単独で発生することはまれであり、カテーテルインターベンションや手術の合併症を除いてほぼ全例左室の梗塞(特に下後壁)に合併する。右室収縮力が低下することで静脈系から肺、最終的に左室に至る循環血液量が減少し、右心系の圧上昇や、左室の前負荷の低下がみられる。また代償的に拡大した右室が左室を圧排すると、心拍出量は著しく低下する。右室心筋梗塞は軽度の右心不全をきたすものから心原性ショックに至るものまでさまざまであるが、入院時にこれらの徴候が明らかでない例が多い。そのため、右室心筋梗塞は決して頻度の低い病態ではないにもかかわらず、ときに見過ごされ、その後の管理に難渋することがある。カテーテルインターベンションが普及し、心筋梗塞に対する早期の再灌流療法が一般的となった今日においても、右室心筋梗塞の合併例は非合併例と比較して院内死亡率が有意に高いとの報告もあり、迅速な診断と的確な治療が求められる。本稿では右室心筋梗塞の診断、治療、生命予後などについて概説する。
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