特集 心筋性状・機能診断を考える-病理と画像が意味するもの-
治す 心筋の核から重症度を判定する 心筋細胞核クロマチン形態解析による新たな心不全可塑性指標の開発
神崎 万智子
1
,
大谷 朋仁
,
朝野 仁裕
,
坂田 泰史
1大阪大学 大学院医学系研究科循環器内科学
キーワード:
電子顕微鏡検査法
,
細胞核測定
,
死亡
,
心筋症-拡張型
,
心臓補助機器
,
心不全
,
生検
,
クロマチン
,
重症度指標
,
心筋細胞
,
可塑性(組織)
Keyword:
Biopsy
,
Cardiomyopathy, Dilated
,
Death
,
Chromatin
,
Heart-Assist Devices
,
Karyometry
,
Heart Failure
,
Microscopy, Electron
,
Severity of Illness Index
,
Myocytes, Cardiac
pp.988-993
発行日 2017年9月9日
Published Date 2017/9/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017373900
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重症心不全症例において,基礎疾患に心筋症が占める割合は大きく,また心臓移植待機患者の約8割が心筋症である。治療により心機能が回復する「リバースリモデリング症例」が存在する一方,薬物療法,非薬物療法のあらゆる最適化療法を行っても不可逆的に進行増悪する症例も存在する。不可逆症例群に対しては,最も強力な負荷軽減治療となりうる補助人工心臓(ventricular assist device;VAD)や心臓移植医療などを早期に考慮することが望まれる。しかし,目の前の症例が治療抵抗性かどうかを病態初期に判別することは臨床の現場で非常に難しい問題である。心不全重症度評価(予後規定因子)として,B型ナトリウム利尿ペプチド(B-type natriuretic peptide;BNP)などの指標や,心筋細胞形態や心筋線維化面積率・線維化タイプなどの病理指標が知られているが,重症心不全の治療抵抗性や心機能不可逆性の予測指標としてはいまだ多くの議論が重ねられているのが現状であり,できる限り早いタイミングで適切な治療法を選択するために,新規臨床マーカーの確率が望まれている。これまでの病理学的検証のおいて心筋細胞核クロマチン微細構造に関して得られた知見をもとに,筆者らは心筋細胞核クロマチン構造の定量評価法を今回,新規に開発し,心不全の重症度を評価しうることを見出したので,以下に紹介する。
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