発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014367325
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39歳男。父親に拡張型心筋症の既往があった。咳嗽、発熱、呼吸困難が出現し、抗生物質を投与されたが効果なく、心不全、急性腎不全、肝機能障害など多臓器不全を来たした。鼻腔・咽頭培養検査で多剤耐性Serratia species、Acinetobacter speciesが検出された。超音波で左室駆出率の低下、左室の拡張期径・収縮期径の拡大、左室壁の菲薄化、III度僧帽弁逆流、高度三尖弁逆流を認めた。救命的左心補助人工心臓(LVAD)の装着手術を行い、術中の心筋生検で好酸球性心筋炎と組織診断された。術前・術後に使用した薬剤も含めて多種抗生物質の皮内テストを行ったところ、殆どの抗生物質に対し高度な薬疹を認め、抗生物質の投与が好酸球性心筋炎の原因になったと考えられた。ステロイドパルス療法を行った後、心筋生検で好酸球浸潤の消失を認めた。その後、両室ペーシング機能付き植込み型除細動器の埋込み術を行い、術後6ヵ月にLVADを離脱し、その3ヵ月後に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014