特集 大動脈疾患を見直す
治す EVAR
岩越 真一
1
,
吉川 公彦
1奈良県立医科大学 放射線科
キーワード:
術後合併症
,
大動脈瘤-腹部
,
ステントグラフト内挿術
Keyword:
Postoperative Complications
,
Aortic Aneurysm, Abdominal
pp.767-772
発行日 2017年7月9日
Published Date 2017/7/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017303055
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わが国において,ステントグラフト内挿術(endovascular aortic aneurysmrepair;EVAR)が保険適応となって,10年が経過した。現在では広く普及しており,ステントグラフト実施基準員会によると,2016年11月までに5万2,960症例(499施設)が,治療・登録されている。EVARは低侵襲治療であり,short term outcomeについては腹部大動脈置換術(open surgical repair;OSR)を凌駕することが,大規模なRCTで証明されている。一方で,近年ではこれらRCTの長期フォローデータがpublishされ,EVARの長期的予後について注目が集まっている。このデータによると,8年を超えるlong term followでは,OSRがEVARよりも全死亡率(adjusted HR[hazard ratio];1.25,p=0.048),さらに大動脈関連死亡率(adjusted HR;5.82,p=0.0064)においても良好な結果であったと報告されている。古いタイプのステントグラフトが使用されていたとはいえ,衝撃的な結果であり,EVAR後にはより慎重な遠隔期までのフォローが必要であると考えさせられた。日常臨床においても,症例の積み重ねにより,大動脈瘤径変化や大動脈瘤関連イベントの発生など,長期的予後についてより関心が高まっている。本稿において,これら長期的な予後も踏まえたEVARのプランニング/治療方法について概説する。
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