特集 循環器疾患を有する患者の妊娠・出産
治す 循環器疾患合併妊婦の妊娠・分娩管理 心筋症
神谷 千津子
1
1国立循環器病研究センター 周産期・婦人科
キーワード:
心筋疾患
,
心筋症-拡張型
,
心筋症-肥大性
,
妊娠合併症-心臓血管系
,
ハイリスク妊娠
Keyword:
Cardiomyopathy, Dilated
,
Cardiomyopathy, Hypertrophic
,
Cardiomyopathies
,
Pregnancy Complications, Cardiovascular
,
Pregnancy, High-Risk
pp.420-425
発行日 2017年4月9日
Published Date 2017/4/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017201296
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妊娠・出産を通じて,循環動態はダイナミックに変化する。拡張型心筋症や肥大型心筋症をはじめとした,既知の心筋症をもつ女性にとって,妊娠による循環血漿量や心拍数の増加は,心不全や不整脈合併症のリスクとなる。特に,心機能低下や左室流出路狭窄が中等度以上の場合には注意を要する。周産期(産褥性)心筋症とは,心疾患既往のない女性が,妊娠・産褥期に心機能低下をきたし,急性心不全を発症する二次性心筋症の1つである。息切れ,動悸,浮腫や体重増加といった心不全症状は,健常妊産褥婦も訴える症状であり,診断遅延の一因となっている。一方,心不全診断時の心機能が予後と相関しているため,早期発見・早期治療により,予後改善が大いに見込まれる疾患でもある。日常診療の場で遭遇する頻度は多くないが,高齢,妊娠高血圧症候群,慢性高血圧症,多胎妊娠,子宮収縮抑制薬の使用などが危険因子として知られており,これらの因子を複数もつ妊産褥婦の心不全症状の訴えには,適切な対応が必要である。近年,遺伝子研究を基に拡張型心筋症とのオーバーラップが指摘されている。本稿では,これらの心筋症について解説する。
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