特集 CT、MRIを上手に循環器診療で使いこなせ!
識る CTによる急性冠症候群の診断と予測は可能か?
北川 知郎
1
1広島大学 大学院医歯薬保健学研究院循環器内科学
キーワード:
冠状動脈硬化症
,
リスク
,
冠血管造影
,
CT血管造影
,
血管リモデリング
,
急性冠動脈症候群
,
動脈硬化プラーク
Keyword:
Computed Tomography Angiography
,
Coronary Artery Disease
,
Risk
,
Coronary Angiography
,
Acute Coronary Syndrome
,
Plaque, Atherosclerotic
,
Vascular Remodeling
pp.258-264
発行日 2017年3月9日
Published Date 2017/3/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017164742
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昨今の循環器診療において,心臓CTは確固たる地位を確立した。特に冠動脈疾患の評価および診断においては,カテーテルによる侵襲的冠動脈造影(coronary angiography;CAG)の代用として冠動脈狭窄評価を目的とする時代から,CAGでは描出も評価もできない血管壁病変(プラーク)の存在と性状診断への活用に関心が移りつつある。急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)は医学が進歩した現代においても,いまだ克服できない重大な致死性疾患であり,その予防と予知は臨床心臓病学における最重要課題である。心臓CTによる冠動脈造影(coronary computed tomography angiography;CCTA)をACS発症につながる不安定プラーク同定に活用しようという臨床的要望は自然の流れともいえる。CTスキャナーの稼働台数がヨーロッパ全体に匹敵するとされるわが国からは,CCTAによる冠動脈プラーク性状解析に関するデータが相次いで報告されており,ACS責任病変における不安定プラークの特徴が明らかになってきた。また,CTによるACS発症予測能に関する前向き研究も報告されつつあるが,単施設での検討に留まることもあり,将来的なリスク評価ツールとしてのCTの有用性確立には至っていない。本稿では,CCTAによるACS発症母地となりうる不安定プラーク診断の現状を解説する。さらに,ACS予知に向けたCTの可能性と限界点,今後に向けた展望について述べる。
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