特集 CT、MRIを上手に循環器診療で使いこなせ!
識る 一歩踏み込んだ心臓MRI 冠動脈MRIとT1マッピング
後藤 義崇
1
,
石田 正樹
,
北川 覚也
1三重大学医学部附属病院 放射線診断科
キーワード:
冠動脈疾患
,
冠状動脈硬化症
,
MRI
,
心筋疾患
,
MRA
,
細胞外空間
,
動脈硬化プラーク
,
縦緩和時間
Keyword:
Coronary Artery Disease
,
Coronary Disease
,
Extracellular Space
,
Cardiomyopathies
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Magnetic Resonance Angiography
,
Plaque, Atherosclerotic
pp.265-270
発行日 2017年3月9日
Published Date 2017/3/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017164743
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心臓MRIは心機能評価と心筋梗塞・線維化の診断においてゴールドスタンダードと考えられており,心不全の原因精査や心筋症の診断において欠かせないモダリティである。また,施設によっては核医学検査に代わる心筋血流イメージングとしての利用も進んでいる。これらの基本的な心臓MRI検査は臨床的価値の非常に高いものであるが,さらに一歩踏み出すならば,そこには冠動脈の形態診断と定量的な心筋組織性状診断という大きな可能性をもつ領域が広がっている。非侵襲的な冠動脈評価に関しては,心臓CTが広く臨床で用いられているが,心臓MRIには,放射線被ばくを伴わない,石灰化に狭窄診断が妨げられない,非造影検査も可能など,心臓CTにはない特長を有する。また,最近,わが国より心臓MRIによる冠動脈プラーク評価の有用性に関する報告が相次いでなされている。心筋組織性状診断に関しては,T1マッピングとよばれる手法が注目されている。この手法は心筋T1値を定量することにより,さまざまな疾患における組織変化を鋭敏に検出する。特に遅延造影MRIでは困難とされるびまん性心筋線維化の評価を可能とすることは臨床的に大きなインパクトをもつ。本稿では,心臓MRIによる冠動脈評価とT1マッピングについて,最近のエビデンスを中心に概説する。
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