特集 関節の再生医療
半月板温存治療の最先端
中田 研
1
,
前 達雄
,
下村 和範
,
武 靖浩
1大阪大学 大学院医学系研究科スポーツ医学
キーワード:
Collagen
,
医用材料
,
関節鏡法
,
細胞外基質
,
Fibrin
,
膝半月
,
縫合法
,
細胞移植
,
荷重負荷
,
人工器官と補綴物
,
多血小板血漿
,
半月損傷
,
血餅
,
衝撃
Keyword:
Tibial Meniscus Injuries
,
Arthroscopy
,
Biocompatible Materials
,
Collagen
,
Fibrin
,
Extracellular Matrix
,
Menisci, Tibial
,
Suture Techniques
,
Weight-Bearing
,
Cell Transplantation
,
Prostheses and Implants
,
Platelet-Rich Plasma
pp.1279-1287
発行日 2017年12月19日
Published Date 2017/12/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2018087246
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はじめに
半月板は膝関節内の線維軟骨であり,生体力学 的機能として荷重関節である膝関節の荷重分散や 衝撃吸収,関節安定性,滑動,深部知覚などの役 割をもち,靱帯とともに膝関節の機能維持に重要 な組織である。スポーツ活動や日常生活動作で損 傷することが多く,その治療には軽傷例では保存 療法が選択されるが,疼痛やひっかかりやロッキ ングなどの症状が改善しない,または重度な場合 には手術療法が選択される。 手術療法では,現状では世界的にも関節鏡視下 部分切除術が多数であるが,半月板は切除後には 再生能力が低いため,関節の衝撃吸収や荷重分散 などの重要な生体力学的機能が損なわれ,関節軟 骨に過負荷が生じ,関節軟骨の摩耗や変性をきた し,軟骨下骨の硬化や骨棘が生じるなど,早期の 変形性膝関節症変化をきたすことが知られている1),2)。 そのために,膝関節機能を維持し,活動的な健康 寿命の延伸のためには半月板の温存治療が重要で あると考えられるようになっている。半月板切除 術後など失われた半月板機能を回復するために, 同種半月板移植(allograft)も用いられているが, ドナー確保やサイズマッチの困難さ,病原体感染 の問題などがあり,適応は限られる3)。 本稿では半月板温存治療について,半月板縫合 術の工夫,biologicsによる新しい治療,さらに半 月板を補填する治療について概説する。
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