特集 関節の再生医療
骨髄刺激法の限界と治療効果促進の試み
中川 晃一
1
,
齊藤 雅彦
,
園部 正人
,
赤津 頼一
,
中島 新
1東邦大学医療センター佐倉病院 整形外科
キーワード:
Hyaluronic Acid
,
Polyglycolic Acid
,
医用材料
,
関節鏡法
,
関節軟骨
,
脛骨
,
骨切り術
,
骨髄
,
疾患モデル(動物)
,
Fibrin
,
軟骨疾患
,
治療成績
,
Chitosan
,
再生医学
,
Collagen Type I
,
Collagen Type III
,
関節軟骨修復術
,
Atelocollagen
Keyword:
Arthroscopy
,
Bone Marrow
,
Biocompatible Materials
,
Cartilage Diseases
,
Cartilage, Articular
,
Disease Models, Animal
,
Fibrin
,
Osteotomy
,
Polyglycolic Acid
,
Tibia
,
Treatment Outcome
,
Collagen Type III
,
Collagen Type I
,
Regenerative Medicine
,
Chitosan
,
Arthroplasty, Subchondral
,
Atelocollagen
,
Hyaluronic Acid
pp.1218-1224
発行日 2017年12月19日
Published Date 2017/12/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2018087237
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はじめに
関節軟骨は栄養血管を有さず,また細胞密度が 低いことなどから,自己修復能力に乏しい組織で ある。広範な軟骨損傷が自然治癒することはなく, また, 重度の関節軟骨損傷は変形性関節症 (osteoarthritis;OA)を引き起こすことが知られ ている。軟骨修復を目的として行われるさまざま な術式のなかで,軟骨損傷部の骨穿孔を行い,骨 髄からの間葉系細胞の遊走を促す骨髄刺激法1)〜3) は,古くから行われている簡便な方法で,比較的 良好な短期成績が得られている。 この方法で得られる修復組織は線維軟骨であり, 硝子軟骨である正常関節軟骨と比べると,力学的強 度,対摩耗性ともに劣り,長期経過後の成績低下が 危惧される。そこで,軟骨欠損部をより生理的に修 復することを目的として,非加重部から複数の骨軟 骨柱を採取して移植する方法[自家骨軟骨移植術 (mosaicplasty)4)]や,自家軟骨細胞を体外で培養し 増殖させた後に欠損部に移植する方法[自家培養軟 骨移植術(autologous chondrocyte implantation; ACI)5)]が行われるようになった。 一方で,近年は骨髄刺激法の低侵襲性が見直さ れるようになり,さまざまな工夫を加えることで 治療効果を促進し,適応を広げようとする試みが なされている。本稿では,骨髄刺激法の適応と限 界ならびに,最近行われている治療効果促進の試 みについて解説する。
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