特集 人工股関節置換法 アプローチと最新の機器のトレンド
MPCポリマーカップの特徴・適応・成績
北島 将
1
,
馬渡 正明
1佐賀大学 医学部整形外科
キーワード:
治療成績
,
人工股関節
,
股関節置換術
,
Poly(2-methacryloyloxyethyl-phosphorylcholine)
,
摩耗
Keyword:
Hip Prosthesis
,
Treatment Outcome
,
Arthroplasty, Replacement, Hip
,
Poly(2-methacryloyloxyethyl-phosphorylcholine)
pp.1156-1161
発行日 2017年11月19日
Published Date 2017/11/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2018042398
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MPCポリマーとは
MPCとは,2-methacryloy-loxyethyl phosphorylcholine の略であり,2-メタクリロイルオキシエチ ルホスホリルコリンと読む。側鎖にリン脂質極性 基(ホスホリルコリン基)を有するメタクリル酸エ ステルであり,細胞膜表面のリン脂質極性基が配 列した構造となっている(図1)。 ポリマー(polymer)とは,複数のモノマー(単量 体)が重合する(結合して鎖状や網状になる)こと によってできた化合物のことである。MPCが重 合したものがMPCポリマーとなる。MPCポリマー を加工することにより,ポリエチレンの表面にナ ノメートル単位のリン脂質層を構築することが可 能となり,細胞膜に類似した構造を有する。従来 のポリエチレンの表面にMPCポリマーを加工す ることにより,疎水性のポリエチレンが親水性と なり,水の被膜ができることで,従来のポリエチ レンの性能を損なわずにさらに摩耗が減少すると される。 MPCポリマーの特徴は,生体内で異物として 認識を受けず,優れた生体親和性を発揮すること である。MPCポリマー表面での水の薄膜層の形 成は,蛋白質吸着や血栓形成の抑制が可能な親水 性へ変化する。現在,血管拡張ステント,人工肺, 人工心臓などの医療デバイスが認可を受けてい る。
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