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●His束(HB)は,右線維三角(RFT)を貫通する貫通部His束(pHB)と,左室側心室中隔(IVS)面に多くの左脚(LBB)小枝を分枝する分枝部His束(bHB)より構成されている。
●pHBが心室側に入りbHBとなった直後,左室側IVSに左脚後枝(PFLBB)を分枝する。PFLBBはbHBの第1分枝である。
●bHBは膜性中隔(MS)下縁を前方に走行し,その構造が終わる点で左室側IVS面へ左脚前枝(AFLBB)を,右室側IVS面へ右脚(RBB)を分枝しその構造を終える。
●bHBはMS下縁を前方に走行する間に,左室側IVS面へ多くのLBB小枝を分枝する。小分枝は吻合し,1つのPurkinje線維網(ネットワーク)を形成する。
●AFLBB,PFLBBはPurkinje細胞群が線維組織で取り囲まれている構造であり,構造的に周囲と隔絶され,電気的にも周囲と絶縁されている。前者は前外側乳頭筋(ALPM)へ,後者は後内側乳頭筋(PMPM)に向かう。HBからLBB・RBBを介し下行してきた電気的興奮は,周囲の固有心筋が興奮・収縮する前の,最も早い時相に乳頭筋を興奮・収縮させる。その後,興奮は周囲に伝搬し,固有心筋を興奮・収縮させる。
●ALPMとPMPMは連続する構造であるが(筆者発表済み),AFLBB−PFLBB間も刺激伝導系細胞でつながれ,電気的に1つの回路を形成しているものと推測される(未発表データ)。
●pHB,bHBおよびPFLBB近位部は,右冠動脈(RCA)房室結節枝(房室結節動脈)および左冠動脈前下行枝(LAD)第1中隔枝で栄養されている。
●PFLBB遠位部は,LAD中隔枝およびRCA後下行枝(RPD)中隔枝で栄養されている。
●RBBおよびAFLBBは,LAD中隔枝のみで栄養されている。
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