連載 心臓の解剖【知っておきたい知識 −疾患の病態生理から治療へつなげる解剖学−】
第8回
心臓-大血管接合部の特殊性② 左室流出路-大動脈接合部構造について
井川 修
1
1日本医科大学付属病院/セントマーガレット病院 循環器内科
pp.1108-1116
発行日 2021年11月9日
Published Date 2021/11/9
DOI https://doi.org/10.18885/HV.0000000707
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
●左室流出路(LVOT)−大動脈(Ao)接合部構造を理解するためには,右室流出路(RVOT)−肺動脈幹(PT)接合部構造と同様,3つのリング状境界線(STJ,VAJ,BR)の内容を正確に認識することが重要である。
●LVOT心筋とAo組織の境界線が,リング状VAJである(RVOT心筋とPT組織の境界線と同様)。
●王冠状大動脈弁輪(AoVA)の3つの頂点でsinotubular junction(STJ)が,3つの最下点でbasal ring(BR)が形成される(肺動脈弁輪と同様)。
●LVOT−Ao接合部のAoVA直下弁支持組織は,右冠尖(RCC)前方の大部分および左冠尖(LCC)前半部は心筋組織,LCC後半部,無冠尖(NCC)の全部,RCC後方の一部は線維組織である。
●大動脈NCC弁輪中央直下の右線維三角(RFT)を貫通して心室へ通り抜けたHis束(pHB)は,直後に左室側心室中隔へ左脚後枝(PFLBB)を分枝,小分枝を出しながら膜性中隔下縁を分枝部His束(bHB)として走行し,左脚前枝AFLBと右室側心室中隔の右脚(RBB)に分かれる。
Copyright © 2021, MEDICAL VIEW CO., LTD. All rights reserved.