特集 外科外来マニュアル
私の治療
各論—頭頸部
頸部外傷救急処置の一般的事項
三村 孝
1
1伊藤病院外科
pp.647-649
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207967
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□概説
頸部は解剖学的に複雑な構造をもち,生理学的にも重要な中枢が集中している.したがつてこの部の損傷により発生する損傷は重篤なものが多く,その症状も多種多様である.また損傷による症状の進展が急速な場合が多く,早急に適切な処置が要求される.このため常日頃からの局所解剖学的または生理学的理解が必要である.図1は前頸部甲状腺周囲の解剖を示したものである.重要臓器は殆んど前頸部に集中している.
頸部損傷にも,火傷,刺傷,切創,銃創,鈍力による損傷などがあり,それぞれ病態が異なる.刺創,切創では血管損傷,気管損傷が救急処置の対象となる.鈍力による損傷では喉頭,気管,舌骨などの損傷による気道閉塞が救急処置上問題となり,気管切開が必要となる.又,頸椎損傷を合併し,重篤な症状を来し死の転帰をとる事もある.
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