Japanese
English
特集 整形外科領域におけるAIの応用
Ⅳ章.AIによる疾患診断
5.AIによる上腕骨離断性骨軟骨炎の病変検出
Detection of elbow osteochondritis dissecans using artificial intelligence
乾 淳幸
1
A. Inui
1
1神戸大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kobe University School of Medicine, Kobe
キーワード:
ultrasound
,
AI
,
osteochondritis dissecans
Keyword:
ultrasound
,
AI
,
osteochondritis dissecans
pp.597-600
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_597
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎(OCD)は,少年期における野球選手の投球肘障害の主な原因の一つである.OCDの発症率は0.3~3.4%と報告されており,もっとも多い発症年齢は10~12歳である1,2).OCDの初期段階では一定期間の投球禁止などの保存療法が有効であることが多いが,その段階で症状が出ることはほとんどない.進行期になると肘の痛みやひっかかりといった症状が出現し,スポーツ活動の長期休止を余儀なくされる.したがって,OCDの保存療法を成功させるためには早期発見が重要となる.OCDの画像診断方法としては,超音波診断装置(エコー)が簡便で安価な非侵襲的手段であり,スポーツ現場でも利用が可能である.OCDの早期発見を目的とした「野球肘検診」といった集団検診が全国的に行われている.しかしながらエコーによる集団検診の限界として,検査がオペレーターの技量に依存すること,検査の標準化が困難であること,オペレーターの人数を確保するのが困難であることなどがあげられる.われわれは,AIの技術の中でも深層学習(deep learning:DL)をエコー画像の診断に応用することで,絞扼性神経障害や三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷のエコー画像に対して診断補助が可能である可能性を報告してきた3,4).本研究では,野球肘検診において収集した画像をもとに物体検出を行うAIモデルを作成し,その精度を検証した.

© Nankodo Co., Ltd., 2025